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【表4より】
古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。
二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた──。
瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。
しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変わっていき・・・。
透明な硝子の文体に包まれた濃密な感情。
月光の中で一瞬見せる、魚の跳躍のようなきらめきを映した物語。
直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」を読み大変興味を持ち始めた三浦しをんさん。
この作品もそうですが、三浦さんの文章はとっても好きです
表現が美しく(心情・情景とも)、テンポもよく心に染み入るような文章です。
この「月魚」の主要人物、真志喜・瀬名垣ですが、「まほろ駅前多田便利軒」の多田・行天の関係に似ています。
二人の会話の様子、根底に流れる同姓の友情(?)といったものが似通っています。
取りようによっては、心情的(肉体を伴わない)ホモセクシュアルというのでしょうか、ホモソーシャルと言ったほうが合っているのでしょうか?
特に主人公に密接に関係する人物(瀬名垣・行天)にこの特徴が見られます。
この文庫には、真志喜・瀬名垣を取り囲んだ別の時代の短編が収録されているのですが、こちらもそーいう系統があります。
そーいう系統というより、美少年を描く少女の見たカッコイイ男性を描く少女漫画なのかな~?
とも思いました。
でもね、三浦さんのそういうトコ好きですw
三浦さんはこのようなテーマを主に書かれているのでしょうか?
まだ、2冊目なのでそのあたりは、今後に。
北森鴻さんの民俗学・骨董業界もそうなのですが、自分の良く知らない専門的な世界(ここでは古書)というのは、非常に知的好奇心をくすぐられるものです。
っと、ストーリーを全く書いていませんでした
ということで、簡単に。
真志喜は名門の老舗古書店の三代目。
瀬名垣は真志喜の幼馴染で、店舗を持たず古書を流通させる「せどり屋」を父に持つ。
業界の中では異端児として蔑まれていた「せどり屋」の息子であったが、真志喜の祖父は佐奈垣に古書界の才能を見ていた。
二人が幼い時、瀬名垣は真志喜の父が廃棄処分にするため、結束してある本の中に、幻の古書を発見する。
そのことにより、瀬名垣の父は自分の才能の無さに打ちひしがれ出奔してしまう。
瀬名垣はこの事件により、真志喜に責任と負い目を感じ二人の航海が始まる。
ざっと書くとこういうことでしょうか。
瀬名垣は、この負い目があることにより「真志喜を守る」という名目を立て、真志喜に寄り添う言い訳にしているように感じるところもあり、また真志喜も同様に感じます。
やっぱり、少女漫画の世界なんでしょうかね~?
まぁ面白かったので全ておっけーです。
暗示的に出てくる、池の主と月。
とっても神秘的で美しい図でした。
★★★★★
角川文庫 H16.5.25