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気の赴くまま、無理せずノンビリ。  風に吹かれて、できる事を背伸びせず・・・。                                                                  本とネットゲームと戯言と・・・。                                                                            ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                                                             読書感想には【かなり】内容に触れているものがあります。 未読の方はご注意を・・・・。
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RUSHLIFE.jpg【表4より】
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。
父に自殺された青年は神に憧れる。
女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。
職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場――。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。
不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。
巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。


また伊坂さんです。
伊坂さんの作品はよく人が死にます。
今回も沢山死にました。
私がこれまで読んだ伊坂さんの作中での死は、あまり生々しいものではなかったのですが、今回の中で出てくるものはそれ以上のものもありました。

ちょっと桐野夏生さんの「OUT」を思い出してしまいました。
OUT」も読んでしまったのですが、あの本は良く発売禁止にならなかったですね・・・。

ラッシュライフは、そのエンディングに「豊潤な人生」と書かれています。
リストラされた会社員・豊田と金の力に屈した若き才能のある画家・志奈子のこれからの「豊潤な人生」を想起させるエンディングの一文です。
カルト宗教を取り上げた小説ではないのですし、河原崎の「神の解体」は必要なかったのではないでしょうか?
正直、かなり気持ち悪かったです。

河原崎にも救いを用意して欲しかったな。。。
私としては、ベタなのですが紆余曲折を経て再生される魂というのが一番好きなのです。

それぞれの人生がニアミスし、リンクし時間のつながりが見えてきて・・・・展開の巧みさはさすがだと思いました。
「神の解体」のシーンは、「神の解体」というテーマを別の表現で描いて欲しかった。
ちょっと私には厳しい表現でした。
でも、まだまだ伊坂さんは読みまっす。

★★★★★
新潮文庫 H17.05.01

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grasshopper.jpg【表4より】
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!


これは、面白い!

文句無く面白いです。
実はこの本、伊坂さんをあえて避けていた原因となっていた本だったのです。
皆さん、やられると思うのですが、文庫を買う場合まず、【表4】の粗筋を読みます。
【復讐】・【殺し屋】・・・・。
私のあまり得意ではないキーワードが目に飛び込んできたのです。

終末のフール」で伊坂さんを読み始めたわけですが、あちらの本の粗筋には【再生】(←これが一番好き)・【希望】・【恩讐】・【幸福】といった私をくすぐる言葉のオンパレードでした。
そのおかげで、こうして伊坂さんを読む幸運にめぐり合えたわけです。
さてさて、未だに避けている「重力ピエロ」どうしよ・・・。

この本は、とにかくドンドン頁をめくらせる力を持っていますね~。
よくある会話文ばかりで、内容の薄いサクサクではなく、私にとって次の頁が気になって仕方ないというタイプの本です。

本書は「鈴木」・「蝉」・「鯨」の主要登場人物3人の章が、繰り返し出てくる本なのですが、「蝉」・「鯨」が殺し屋なのに対して、鈴木は妻を殺された元教師。
この3人を結びつけるのが、「鈴木」の章で登場してきた第三の殺し屋「押し屋・槿」。

この後の粗筋は飛ばします。
かなり内容に触れてしまいますので・・・。

「鈴木」と「蝉」と「鯨」。
3人は自分と決着を付けるために、「押し屋・槿」を追います。
妻との絆を守るため。
自由を獲得するため。
亡霊と決着をつけるため。

理由はそれぞれですが、各人の心理描写がとても巧みです。
特に、「鯨」と「押し屋・槿」とても【魅力的な殺し屋】(?)です。
やはり魅力的な人物は、それが殺し屋であっても最後まで残るのですね。
暴走的な不穏人物の「バカ息子」・「社長(登場はしませんが)」・「蝉」は早めに退場です。
最後は、「鈴木」と「鯨」・「槿」が残る。
このあたりも伊坂さん、好きです

「殺し屋」というと、どうしても「ゴルゴ13」を連想してしまう私ですが、(と、書きながら殆ど知りません・・・)この小説に出てくる「殺し屋」は表情と体温を感じました。
サイトウ先生、ごめんなさい・・・。

最後の1行がかなり話題のようですが、【確かに何ていうのかな~】感はありますよね。
この1行は幻覚の終わりを意味してるのかな?
すると、幻覚の始まりは「信号」
え~!そんな前なの?
まぁ、小説の内容は非現実的ですから、そのための決着であったのだと思うのです。
でも、小説ですから面白かったり・感動したりなら、非現実的でも良いと思うのですよ。
でも、あれがあるから、「さすが、伊坂幸太郎~!」なんだよね~。

そうそう、この本にも本の1文ですが「しゃべるカカシ」が出てきました!
これは、今読んでいる「ラッシュライフ」にも出てきますし、やはり村上春樹さんでいう「羊男」=「カカシ」なのでしょうか?
「カカシ」は「オーデュポンの祈り」で死んでしまった訳ですが、もう新作では出てこないのでしょうか?
再登場を期待します!

★★★
角川文庫 H19.06.25



odyupon.jpg【表4より】
コンビに強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。
無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?


伊坂さんの原点というデビュー作がこれです。
新潮ミステリー倶楽部賞の受賞作です。
ここから伊坂さんはスタートしたのですね~。
私の場合、何故か少し依怙地になっていたところがあり、伊坂さんは意識的に避けていたところがありました。
理由は有りません。。。
で、ついに最初に読んだのが、「終末のフール」。
これで、感銘を受け嵌り始めています。
そして、4冊目でやっとたどり着いたデビュー作です。

さて、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作とのことですが、ミステリーなのでしょうか?
まぁ、分類などはどうでも良いのです。
そのことより、新潮社がこの作品に賞を与え、伊坂さんをデビューさせてくれたことに感謝します。

このお話をミステリーと捉えたとき、ミステリーの要素は大きく分けると、二つあるのかな?と考えます。
一つは、未来を見通せるカカシは何故、自分の死を阻止出来なかったのか?
もう一つは、度々出てくる「この島には欠けているものがある」という、その欠けているもの。

読んでいる途中で私は、カカシが自分の死を回避できなかったのは、死ぬことの出来ないカカシの自殺。
「この島に欠けているもの」・・・これが大きなテーマで、この島(荻島)=日本の比喩であろうと思って読んでいました。
日本に欠けているものという壮大なテーマが書かれているのかと・・・・。
その解答は、あまりにネタバレになってしまうので書きませんが・・・。

まぁ、不思議でシュールな世界です。
村上春樹さんをイメージしてしまいました。

で、正直な感想です。
①まぁまぁ、面白いけど・・・。
②テーマ性が期待を裏切っている・・・・。
③タイトルが素敵。(文庫版の表紙が素敵)
④登場人物が魅力的。
⑤市場のウサギさんが好き。
⑥伊坂さんをデビューさせた新潮社、偉い!

★★★★★
新潮文庫 H15.12.01


maou.jpg【表4】より
会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。
自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。
五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。
新たなる小説の可能性を追求した物語。


これは良かった!
まず、これを最初に書いておきます。
この本は、2編の小説から成り立っています。
まず『魔王』これは安藤の死まで。
それに続く編として『呼吸』。
こちらは、安藤の死から5年後の潤也と純也の妻・詩織の物語。

2編からなる『魔王編』は、現在の日本と日本人を取り巻く閉塞感から脱却を目指す政治家・犬養と、「考えろ、考えろ、マクガイバー」をモットーにする安藤のお話。
現在の日本人の多数が感じているであろう閉塞感。
ナショナリズム・日本という国の個性の崩壊を閉塞感の根源に求め、そこからの自立を目指す犬養。

犬養の発言にこのようなものがあります。
「汚職や不祥事、選挙の敗北、それらの責任で辞任した政治家はいるが、国の未来への道筋を誤った、と辞任した政治家はいない。なぜだ?・・・(中略)・・・国民はもう諦めているんだろう。・・・(中略)・・・政治家が必死に考えているのは、政治以外のことだと見限っているわけだ。私は訊きたいのだが、それが正しい国のあり方か。私なら五年で立て直す。無理だったら、首をはねろ。そうすればいい。私が必死になるのは、政治のことだけだ」

こんなことを言われたら、今の日本人はなだれをうって従いますよね。
安藤はそれを危惧します。
大きな波に飲み込まれ流されることを。
それがファシズムだと。
波に飲み込まれず自分で「考えろ、考えろ、マクガイバー」と。

さて、ファシズムとは何だろう?と改めて考えました。
wikiによると、イタリアの政治家・ムッソリーニが自身の思想に付した名称だそうです。
観念としては、束・意思統一された団結というところでしょうか。

現在の日本は、良いところでもあり、国家としての弱さの部分でもあるのでしょうが、自由の名の下に個々がバラバラになり、収束がつかない状況なのかもしれません。
そこに犬養という強力なリーダーシップを持った存在が出現します。
自由という名の下に考えることを放棄してしまった国民は、憧憬とともに奔流に飲み込まれようとします。

安藤は自分に授かった特殊能力を持って、奔流を止めようとしたのです。
そして志を達する事が出来ず、命を落とすのです。
ここまでが『魔王編』です。

続く『呼吸編』では、安藤の死後五年が経ち、安藤の弟の潤也にもある特殊な能力がもたらされます。
それは”運のよさ”です。
潤也は”運のよさ”を元に競馬で大金を稼ぎます。
彼は「お金で人を救うことができるのか?」と考えます。

『呼吸編』は『魔王編』と比較するとかなり、ゆったりした内容になっています。
それは潤也と、彼の妻・詩織の性格によるところが大きいと思いますが、ここでも「自分の頭で考えろ」ということが度々でてきます。
国民を指導する犬養首相しかりです。
憲法改正の国民投票にあたっても「俺を信じるな。自分で考えろ」ですからね。
それも政治パフォーマンスと取れなくもない発言ではありますが。

ただ、この本に出てくる人物に悪人が居そうな感じはありません。
犬養にしても、安藤にしても、また潤也にしても。
三人とも自分の信じることを、それぞれのやり方で貫いているだけだと思います。

それともオオタカに姿を変えたとも取れる安藤・潤也・犬養の中に魔王がいるのでしょうか?
そのあたりに関してはまったく書かれていません。
もしかしたら、続編の「モダンタイムス」の中に書かれているのでしょうか・・・?
気になって仕方ありません。
是非読んでみたいと思います。

この本の中で改めて、漠然と思っていたことが、随所に出てきてもう一度考えなければと思いました。
折ってあるページが、かなりのページ数になっています。
「モダンタイムス」を読んだらもう一度読み返して見たいと思います。

かなりガツンときました。
無茶苦茶いろいろな事を考えさせられました。
http://media.excite.co.jp/book/special/isaka/
↑こちらも合わせてお読みください。
伊坂さんの魔王についてのインタビューです。

「考えろ、考えるんだ、マクガイバー」

「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」

★★★★★
講談社文庫 H20.9.12

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

○FFT
 天狗の瓢箪が2回目で成功しました♪
 ご支援いただきました、ズグダンさん・翼徳さん・ゆえさんをはじめ、皆様に感謝いたします
 舞姫は相変わらずボム続きの8連敗です・・・。



ahirutokamo.jpg【表4より】
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。
初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。
彼の標的は──たった一冊の広辞苑!?
そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!
注目の気鋭が放つ清冽な傑作。
第25回吉川英治文学新人賞受賞作。


今、のっている伊坂幸太郎さんです。
伊坂さんは、まだ2冊目なのですが、「終末のフール」が大変良かったのでこれから増えそうです。
改めて調べてみると、この方の受賞暦は凄いですね~。

1996年…第13回サントリーミステリー大賞佳作(『悪党たちが目にしみる』、大幅に改訂されて『陽気なギャングが地球を回す』として再出版)
2000年…第5回新潮ミステリー倶楽部賞(『オーデュボンの祈り』)
2004年…第25回吉川英治文学新人賞(『アヒルと鴨のコインロッカー』)
2004年…第57回日本推理作家協会賞短編部門(『死神の精度』)
2006年…平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門
2008年…第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞、「このミステリーがすごい!」国内編1位(『ゴールデンスランバー』)
と、こんな感じです。

さて、当「あひると鴨のコインロッカー」です。
いきなり「一緒に本屋を襲おう」ですか~。
これは、村上春樹さんの「パン屋襲撃」を連想させますね~。

この本は、現在と2年前のが交互に書かれています。
書き出しの章は現在で、この現在の章は春から大学に入学した【僕(椎名)】の新生活を送るアパートから始まります。
【僕】は隣人の河崎(この人物実は・・・・)からいきなり「本屋を襲おう」と誘われるわけです。

2年前の章は、現在の【僕】のアパートに住むブータン人の恋人・琴美の視点で描かれています。
時間の相違を用いた叙述ミステリーかな?と警戒してしまいます。
この本は、登場人物の一人である麗子さんが作中で言うように、「琴美・ブータン人のドルジ・河崎」の三人の物語の最終章に居合わせてしまった【僕】が巻き込まれた事件です。

2年前の章では、琴美の視点で書かれているのですが、現在の章に琴美は出てきません。
河崎と【僕】が中心となり、ドルジは引きこもり、琴美は一度も姿を現さないのです。
【僕】は三人の悲しい物語の幕引きの見届け人として現れたのです。

いや~・・・。
結構きました・・・・。
もの凄く引き込まれます。
伊坂さんの文章力は凄いです。

ただのエンターテイメントだけではなく、あちらこちらに考えさせられる文章があります。
このところ、軽いもを続けて読んでいたので、尚更感じます。
そして、2年前の章に出てくる連続ペット殺し事件の犯人たち、怖いことは確かなのですが、その理不尽さが現代を象徴し、狂った現実味に怖気が立ちます。

【僕】は何を見つめ、そしてドルジはどこに行き着くのでしょうか?
転生し幸せに生きて欲しいと思いました。

★★★★★
創元推理文庫 H21.7.03


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