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気の赴くまま、無理せずノンビリ。  風に吹かれて、できる事を背伸びせず・・・。                                                                  本とネットゲームと戯言と・・・。                                                                            ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                                                             読書感想には【かなり】内容に触れているものがあります。 未読の方はご注意を・・・・。
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meihusin.jpg【表4より】
脳死臨調でリーダー的存在であった帝都大学医学部教授の吉井が刺殺された!
かつて吉井の部下だった医療ライターの相馬は、やはり研究室を去った元同僚を追う。
その男、九条は新宿のホームレス街にいた。
不思議な能力を持つ少女、トウトとともに・・・・・。
九条と殺人事件との関係は?
また、彼が行った禁断の実験とは?
深い余韻を残す医療ミステリーの傑作!


実はこの本、「狂乱廿四考」(実は未読)に続くかなり初期の北森作品なのですが、いままで手に取り「どうしようか?」と迷っていた本なのですが、今回新装版ということで、読む決心をした訳です。
北森作品は、陶子・那智の2シリーズのイメージが強くて、またそれがツボに嵌っているため、別系統の作品に二の足を踏んでいたのです。
狂乱廿四考」もそうなのですが。
医療ミステリー自体初めてなわけで、どうも医療ミステリーは権力闘争とかドロドロしたイメージが・・・。

で、どうだったかというと、大変面白かったです~♪
脳死問題という、現時点ではかなりタームリーな問題を取り上げ、また読者のミスリードを誘う系列のミステリーではなく(北森作品は、叙述ミステリーが殆どないのがステキ)、医療界など全く無知な私にも読みこなすことが出来ました。

脳にメスを入れたと思われる不思議少女の神がかりとか、製薬会社の思惑とか、相馬と九条と吉井の苦悩とか・・・。

①一人称の死(私の死)
②二人称の死(あなたの死)
③三人称の死(誰かの死)

非常にデリケートな問題のため、軽率に意見など書くことは出来ませんが、脳死問題を扱うこの作品の中で著者は、吉井・相馬・九条、そして脳死臨調の理事の心の動きを見事に表現しています。
「一人称の死」・「三人称の死」に対しては冷静に判断し脳死判断基準を、それぞれの立場で主張させています。

それが果たして「あなたの死」となったとき・・・・・・。
それぞれの立場の人物が「あなたの死」に直面したとき、脳死判断基準はどう揺れ動くのか?
「あなたの死」に直面し錯綜した立場を書いたミステリーです。

あまりにも誠実で、まっすぐなゆえに、壊れてしまったかに思える九条。
でも、とってもステキ
これも北森作品の良質なミステリーでした。

★★★★
光文社文庫 H20.11.20(新装)
         H11.5
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PR


sinen.jpg【表4】より
銀座の花師・佐月恭一のもう一つの顔は絵画修復師。
大正末期に活躍した画家の孫娘から、いわくつきの傑作の修復を依頼された佐月は、描かれたパリの街並の下に別の絵が隠されていることに気づく・・・・。
表題作ほか、欧州帰りの若き佐月を描いた文庫書き下ろし「凍月」等全三編。
裏の裏をかく北森ワールドに酔う一冊。


さて今度の北森さんは、美術の世界です。
ストーリー展開としては、冬狐堂シリーズ・蓮丈シリーズと同じです。
扱うものが変わっているだけです。
全ての分野を冬狐堂の陶子(骨董)・蓮丈那智(民俗学)に任せてしまうわけには行かないので、絵画の世界のキャラクターを新設したってところでしょうか?
いずれにしても私にとっては、また新しい世界の登場は嬉しいことです♪
北森さんの研究熱心さには、本当に驚嘆します。

佐月は普段は花のアレンジを行う人気フラワーデザイナー(?)
そして、もう一つは神の手を持つ絵画修復師。
さて、どんなお話が展開されるでしょうか?

深淵のガランス ★★★★
ガランスとは絵の具の赤い色のこと。 またそのチューブをいう。 とういことらしいです。
この作品は、北森さんの他著書でも時々名前の出てくる、大正期の洋画家村山槐多の詩から始まります。
ガランスは村山槐多の愛した色だそうです。
村山槐多についてちょっと調べました。
22歳の若さでスペイン風邪から肺炎を引き起こし夭折。
筆致は決して技巧的ではないが、情熱的な絵画を描き、血の色のような赤を好む。
なんでも鑑定団で槐多の絵が出たときは3,000万の値が付いたとのこと。
かなりエキセントリックなイメージです。

さて、この短編ですが、修復を依頼された絵画の下の塗りこめられた絵の謎を佐月が追う。という内容です。
なぜ、絵画の下に塗りこめなければならなかったのか?
なぜ、破壊せずに塗りこめたのか?

血色夢 ★★★★
三編の中で一番の長編。
佐月は雫石で発見された洞窟絵画の修復を依頼される。
同時に、某絵画家の絵画の修復を依頼される。
この絵画、どうやら分割され、各分割されたパーツごとに不足した部分を書き足し、新たな絵画として複数存在しているらしい。
分割された他のパーツをめぐり繰り返される権謀術策。

う・・・・・、なんか盛り込みすぎ。。。。
洞窟絵画も、分割絵画も面白い題材なのですが、一緒にする必要があったのでしょうか?
別々の作品として書き直していただきたい! 
切実にそう思いました。
どっちも面白いテーマなのに・・・・・。

凍月 ★★★★
文庫化のために書き下ろされた作品とのことですが、これは良い
欧州帰りの若き佐月のお話です。
20数頁の短編ですが、こちらも「パークロード・冬」に隠された下の絵に潜む謎です。
隠した画家の心情と、絵画の飾られている喫茶店の女主人の佐月に寄せる淡い気持ち。
佐月の心情とどれも暖かさが感じられます。


と、いった三編です。
シリーズ物になりそうな予感がひしひしと。
この佐月の短編集にも、【女狐】という表現で名前は出てこないですが、陶子と思われる人物が出てきます。
出てくるといっても、文字だけですがね。
北森さんの著作は、それそれのお話で別のお話の人物が良く出てきます。
香菜里屋シリーズの工藤。
冬狐シリーズの陶子・硝子。
蓮丈シリーズの蓮丈那智・内藤三國。

どのシリーズも大好きだし、それぞれの人物も大好きな私としてはこういった連携は大歓迎でっす
他のシリーズと比較すると、どうしても絵画修復がテーマということで、贋作とかドロドロ感があります。
ちょっと心配な点かな?
でも、佐月なら大丈夫だよね~♪

短編集全体 ★★★★★
文春文庫 H21.3.10
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先日、ブログデザイン(カテゴリーをツリー化)の変更をしていました。
ちょっと、失敗して記事の前後関係が一部おかしくなってしまいました・・・・。
新カテゴリーに移行したとき、方法を間違えたようで過去の記事が4点、5月1日になってしまいました。。。。

 



kujyaku.jpg【表4】より
東京は下町の片隅にある骨董品屋・雅蘭堂。
店主の越名集治は実は相当の目利きなのだが、商売はそれほど上手くない。
おかげでいつも開店休業状態。
それでも、ひとたび人々の記憶や思いのこもった骨董品をめぐって事件が起きると、抜群の鑑定眼と推理力で謎に挑む。
ベトナム・ジッポー、鉱物標本の孔雀石、江戸切子──様々なモノと謎が今日も雅蘭堂を訪れる・・・・。
傑作ミステリ連作集。


冬の狐シリーズでも、時々登場する雅蘭堂・越名集治のお話です。
越名集治は冬の狐・陶子の数少ない、同業界での理解者です。

冬の狐・蓮丈那智シリーズとはちょっと趣がかわっているのかな?
こちらの骨董ミステリーの方が、軽いです。
蓮丈シリーズで、息抜き的存在として活躍する内藤クンを連想してしまう押しかけアルバイターの女子高生・安積(あつみ)。
ノー天気で機関銃のような安積と、越名の漫才やり取り。
これが小説にテンポを与えています。
この雅蘭堂のお話がシリーズ物となるなら、ノー天気でありながらどこか鋭い安積が良きパートナーになっていくんだろうな~(内藤クンのように)

で、この短編集。
①ベトナム ジッポー・1967 ★★★★
②ジャンクカメラ・キッズ ★★★★★
③古久谷焼幻化 ★★★★★
④孔雀狂想曲 ★★★★★
⑤キリコ・キリコ ★★★★★
⑥幻・風景 ★★★★★
⑦根付け供養 ★★★★★
⑧人形転生 ★★★★★
の8編を収録します。

一番好きな「根付け供養」について
この短編が一番これまでの北森さんの骨董ミステリーと書き方が近い気がします。
冬の狐シリーズを彷彿とさせられました。
根付細工とは、江戸期に流行した緻密な細工で、煙草入れ・印籠などのストラップです。
用途はストラップなので、帯などに挟み込みつるして持ち運ぶために付けられた物。
そこに緻密な彫り物を施した江戸期のものは、粋な芸術として現在マニアに珍重されているらしいです。

江戸期のものだから価値がある。
現代作家のものは、どれだけ優秀であってもそれほど価値が付かないらしいです。
そこで、現代の根付工芸家が古色を付けた根付を、江戸期の新たに発見された工芸家の作品として世に出すわけです。

この偽江戸根付工芸家の作品はある蒐集家によって、独占的にコレクションされます。
そのコレクターと越名はつながりがあり、偽新作が出るたび越名のもとにその根付を見せにきます。
そのうち、最高傑作が持ち込まれるのですが、安積が破壊してしまいます!
価値としては300万。
通常、預かり物を壊した場合は価格の3倍返しだそうです。

しかし、越名はこの最高傑作に潜む不自然なところに気づきます。
そしてこの偽根付工芸家は江戸期の作家ではないことに気が付きます。
しかし、気づいての上で、蒐集家に3倍返しを持ち込み、その上で不自然さを指摘していきます。
うん、カッコイイです。

しかし、もっとカッコイイ人物が存在しました。
蒐集家です。
彼は、工芸家の不自然さは判っていたのです。
その上で、優れた技術を持つ工芸家と、また、越名の眼を育てることを目的に全て判った上で、蒐集していたというオチです。

うん。
面白かった!

★★★★★
集英社文庫 H17.01.25

乞うシリーズ化!

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FFT
予想通りの再開延期~ww
次の予定は5/15だそうです。
だいぶ忙しさは落ち着いてきたので、いつでもおっけ~
4/25、ホントに再開されそうで焦りました。
まだ、名前が・・・・。



akatukinomissi.jpg【表4より】
“不惜身命”仏道のために命を賭して西蔵(チベット)の聖地・拉薩(ラッサ)を目指した仏教者がいた。その名は能海寛(のうみゆたか)。
時は明治、近代国家形成に向け必死に背伸びする日本を取り巻く情勢は、その苛烈さを増していた。
そんな歴史のうねりの中、仏教の原典「チベット大蔵経」を求めて中国大陸に渡った東本願寺派僧侶・能海寛を主人公に、鎖国下のチベットへの難渋を極める潜入行を描く秘史発掘ミステリーである。
チベット潜入で歴史上有名な河口慧海の名にかくれて、能海寛の“日本人として初めてチベットの地を踏んだ”という壮挙は歴史の闇に埋れていた。
近年、その潜入行が明らかにされている能海の足跡を辿りながら“歴史のif”に挑む著者会心の歴史ミステリー長編。

面白い
最高
言うことなし

能海寛氏、北森さんの狐闇の中でも出来てていました。
その時初めって知ったお名前なのですが、大変興味を持っていました。
で、読み終わって、能海寛氏と当時のチベットについて少し調べました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
能海寛はやはり純粋な仏教徒・学僧みたいですね。
明治維新以降、廃仏毀釈が推し進められ、荒廃した仏教を立て直すため、チベット大蔵経を求め鎖国下のチベットを彷徨し行方を断ったとうことです。

当時(19世紀末期)のアジアを取り巻く情勢ですが、
帝政ロシアはシベリア鉄道に着工し不凍港を求め南下政策の一途。
大英帝国はアジア植民地化を推し進める。
日本は眠れる獅子・清国を日清戦争で破り、明治維新以降の欧米列強との不平等条約解消に向け地位の向上を図る。

そのような混沌としたアジアの状況下、各国の思惑はチベットにあったようです。
そうした不健康な状況で鎖国下のチベットを目指したのが能海の不幸だったのですね。

帝政ロシアの南下政策と、それを良しとしない大英帝国の思惑の絡む諜報活動をチェスに見立てて「グレート・ゲーム」と呼んでいたらしいです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

本書は歴史ミステリーです。
上記の様な状況下から北森さんが考え出したのが暁の密使です。
複雑な政治的状況下でチベットと提携を結び、アジアで確固とした地位を築くため、能海自身気づかぬうちに密使に仕立てられていたわけです。

仏教再興のため、東本願寺からの紹介状を笈の中に納め、ダライラマ13世に謁見する。
それが能海の信ずるチベット行でした。
ところが、その笈の中にはもう一つ別のものが・・・・。
それは、第2の皇軍を配したい日本政府が提携を結ぶために、南朝をチベットに復興させるために隠した、八咫鏡(やたのかがみ=三種の神器のひとつ)(レプリカ)が・・・・。

凄い!
こんな設定、良く考えられますね~。

ストーリーとは別にもう一つの本書の魅力は、人物描写です。
能海の純粋な人柄に惹かれ様々な人物がチベット行を助けるのですが、その描写がうまい!
特に、明蘭(ミンラン)・義烏(イーウー)の二人。
両名ともダライラマ13世の配下なのですがこの二人、最高です。

歴史的事実なので仕方ありませんが、ラストは悲しいです
能海は結局チベット仏教の聖地・拉薩にはたどり着けず、その命を落とします・・・・。
感情移入していたためツライ・・・・

しかし、能海と時を同じくしてやはりチベットを目指した者があと3人います。
成田安輝・河口慧海(かわぐちえかい)・寺本婉雅(てらもとえんが)の3人です。

こんな混沌とした情勢下で能海を含め4人も鎖国下のチベットを目指した・・・・・。
・・・・・やっぱり皆、仏教再興の目的なのでしょうね・・・・・・・・・。
この本のような政治的思惑は・・・・・・・・。
なんて考えてしまいました。

★★★★
小学館文庫 H20.09.10
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今日の戯言~。
いよいよ今日ですね~。
ホントに再開されるのかな~?
半分以上まだ先だと思っているので、まだ名前も考えていませんww
とりあえず22時を楽しみにしますか


mebiusu.jpg【表4より】
男子高校生が謎の焼身自殺を遂げた。
数年後、作家阿坂龍一郎宛てに事件の真相を追跡した手紙が、次々と送りつけられる。
なぜ阿坂のもとに?
そして差出人の正体は?
阿坂は人妻のストーカーに付け狙われ、担当編集者は何者かに殺害された。
すべてがひっくり返る驚愕の結末とは!?
傑作長編ミステリー。

北森さん熱、まだまだ醒めそうもありませんw
今回の北森さんは、純粋なミステリー(歴史・民族ミステリーではなく)です。
北森さんの著作の中で、純粋なミステリーは初めて読ませていただきます。
さて、どんな感じでしょうか?

っと、結論から言うと、可もなく不可もなくかな?
とにかく伏線を張る張る!
基本的にミステリー部門は一番好きなクセに、錯誤の手法がキライというへそ曲がりな私です。
何故かというと、文体が一人称で書かれているのに、その主人公が見た・知った事実を隠して書くというのはルール違反だと思っているからです。

で、このメビウス・レターなのですが、時間軸が2本あって書き進めれれています。
ただ、良くある「時間を錯誤したのは、読者だろ?」っていう2本立てではありません。
伏線も最後の最後で、どんでん返しで「どうだ!」って感じでもありません。
読んでいれば気が付く伏線が殆どです。
その点は好感が持てました。

ただ、伏線にはやはり少し無理が感じられます。
性別入れ替え・声が出せない等のトリックはちょっと・・・・。

読んでいて面白い本だとういことは確かです。
純粋なミステリーファンの方には物足りないのかも知れませんが・・・。
人妻ストーカーとその夫の変質ぶり。(怖いです・・・・)
過去からの告発のメール。

最後のどんでん返しは殺人者がもう一人いたってことですね。
これは驚きました。


★★★★★
講談社文庫 H13.02.15
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んでもって、今日も戯言~

それとこの本を読んでいてふと思ったこと。
例えば、現在の自分から未来の自分に宛てた手紙とか物質とか。
現在の自分から未来の任意の誰かに宛てたものとか。
10年後に、その人物を探し出して届けるような商売って出来ないかな~?
もうあるのかな?
なんて思ってしまいました~ww


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