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気の赴くまま、無理せずノンビリ。  風に吹かれて、できる事を背伸びせず・・・。                                                                  本とネットゲームと戯言と・・・。                                                                            ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                                                             読書感想には【かなり】内容に触れているものがあります。 未読の方はご注意を・・・・。
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yasou.jpg【表4より】
事故で妻をなくし、絶望の中を惰性でただ生きる雪藤。
だが、美少女・天美遥と出合ったことで、雪藤の止まっていた時計がまた動き始める。
やがて、遥の持つ特殊な力は、傷ついた人々に安らぎを与え始めるが・・・・。
あの傑作「慟哭」のテーマ<新興宗教>に再び著者が挑む。
魂の絶望と救いを描いた、渾身の巨編。


先日、「悪党達は千里を走る」を読み、今まで抱いていた貫井さんのイメージと変わっていたので、たまたま書店で「慟哭」の文字が目に飛び込んできたこの本を手に取りました。
貫井さんの既存の作品を否定しているわけでは有りません。
実際、最初に「慟哭」を拝読させていただいてから、一時期嵌りまくっていましたし。

ただ、あまりに続けて読むと、読者を欺く一級の文章に辟易してきてたのです。
「どんでん返しをして、騙してやろう」という意識が強すぎるのでは?などと思ってしまって・・・。
慟哭」を読ませていただいた時は、衝撃的でした。
そして、「悪党達・・・」を久しぶりに読ませていただき、また貫井さんに関心が傾いていた時にこの本を見かけました。

さて、この文庫の帯の表1側には【救われる者と 救われない者。 衝撃のデビュー作『慟哭』で、<新興宗教>をテーマに据えた著者が、「オウム以後をどう描くか」という問いに正面から挑んだ長編小説】
表4側には【「魂の絶望と救い」のドラマを、物語の背後に隠して成立した『慟哭』から、それを前面に出して正面から描いた「夜想」までの十四年こそ、貫井徳郎の成熟の過程だったのではないか。・・・(後略)】

と書いてあります。
帯って、著者さんも発行前に見るのでしょうかね?
私には「オウム以後をどう描くか」などとは、全く読み取れませんでした・・・。
表4側に解説の引用で書かれてある文章が全てだと思います。

で、どうだったか?
とにかく、「長い」という感想でした。
頁数としては530頁程度なのですが、最後の2~30頁を迎えるまで、長く感じました。
もう少し、圧縮しても良かった気がします。
でも、その長さも必要なのかな~?という気もしますが・・・。
交互とは言いませんが頻繁に出てくる子安嘉子の章は、あれほどのボリュームは必要なかった気がします。

で、この本なのですが、貫井さんらしさはありましたね~。
物語の語り手、雪藤・子安。
両名ともあっちの世界の住人でした。
まぁ、子安の場合はすぐにそれと分かるのですが、雪藤の場合は後半まで気づきませんでした。
やっぱり、騙された感が・・・・。
でも、それほど悔しくはありませんでしたw

精神を病んだ人物が語り手なのですが、雪藤は最後に救われます。
宗教によって救われるとかいう意味ではなく、本当に光を見出します。
そこが、読後感が素晴らしかった原因です。
おなじく、精神を病んだ人物が語る、「水没ピアノ」・「向日葵のさかない夏」との相違ですね・・・。

私としては、「慟哭」より上の作品かも知れません。
ただ、「慟哭」と比較するものなのかな?という感もありますが・・・。
これは、解説に書かれていた「追憶のかけら」も読んだ方が良さそうな気がしてきました。

ここまで書いてきて、雪藤の夜の時代の文章は、やはりあの分量が必要だったのかな?という気がしてきました。
だからこその、あのエンディングだっかのかもしれませんね。

【追記】
この本は決していわゆる新興宗教をテーマに扱ったものではありません。
表4や帯を読むと、そう思ってしまいますが、読後の私の感想は違いました。
表4や帯の先入観念があったので、途中までは「このようにして新興宗教は成り立っていくのかな?」などと思って読んでいましたが。

★★★★★
文春文庫 H2111.10

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
○FFT
困ったもんだ・・・・。
ホントにどこにでも、いるもんだ。
ヒマな愉快犯って・・・。
アトリエの方は、3つクリアできました
ご支援していただいた皆様に、感謝・感謝です
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akutou.jpg【表4より】
しょぼい仕事で日々を暮らすお人好しの詐欺師コンビ、高杉と園部。
ひょんなことから切れ者の美人同業者とチームを組むはめになり、三人で一世一代の大仕事に挑戦する。
それは誰も傷つかない、とても人道的な犯罪計画だった。
準備万端、すべての仕掛けは順調のはずだったが・・・次から次にどんでん返しが!
息をつかせぬスピードとひねったプロット。
ユーモア・ミステリの傑作長編。


貫井徳郎さんは、実に久しぶりです。
慟哭」で嵌っていた時期がありました。
どんなものを読んだか、wikiで調べてみると・・・
慟哭・修羅の終わり・転生・迷宮遡行・神のふたつの貌・さよならの代わりに。 計6冊で今作が7冊目でした。

私は貫井さんというと、叙述倒錯ミステリってイメージがあるのです。
悪い言い方になるかもしれませんが、読者をだますことに非常に長けた作家さんのイメージです。
それと、ちょっと暗くて重いイメージもです・・・・。
そんなことで、しばらく間が空きました。

で、この「悪党たちは千里を走る」なのですが、びっくりしました。
これを書いたのが【あの貫井さん!?】
ちょっと違うかもしれませんが、私の大好きな映画「チ・ン・ピ・ラ」(柴田恭平さん・ジョニー大倉さんの方です)を連想する、憎めない小悪党たちの軽妙なコメディタッチの作品でした。

表4には、【次から次にどんでん返し】・【ひねったプロット】って書いてあったので、いつもの倒錯ミステリかな?とちょっと警戒しましたが、そんな事はなかったですね。
ちょっと利口すぎる子ども・巧クンは、やりすぎなのかもしれませんが、まぁこの内容の本なら良いでしょう。
でも、こんな生意気なガキがいたらイヤだな~w

楽しく読める1冊です。

★★★★★
集英社文庫 H20.09.25



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