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気の赴くまま、無理せずノンビリ。  風に吹かれて、できる事を背伸びせず・・・。                                                                  本とネットゲームと戯言と・・・。                                                                            ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                                                             読書感想には【かなり】内容に触れているものがあります。 未読の方はご注意を・・・・。
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slow.jpg【表4より】人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ──あの事件から10年。
アパート「スロー・ハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激しあっていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。
少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。
そんな中、あの事件の直後に128通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った1人の少女に注目が集まる。
彼女は誰なのか。
そして環が受け取った1つの荷物から彼らの時間を動かし始める。


辻村さん大好き~

講談社メフィスト賞作の受賞でデビューした深町さん。
メフィスト賞のイメージでミステリーのイメージがあるのですが、メフィスト賞を調べると、どうもエンターテイメント性に富んだもの。
「面白ければ良し」と言う方が、この賞の規定にはあっているようです。

メフィスト賞受賞作の「冷たい校舎の時間は止まる」は確かにミステリー色が結構ありますが、以降の作品は数を重ねるたびにその色合いは薄くなって来ている気がします。
だからといって、「がっかりした」とかではありません。
私にとってはミステリーとしてではない書籍としての「ぼくのメジャースプーン」とこの「スローハイツの神様」の2作は心に留め置きたい大切な2冊です。

本書でもコーキを救った通称「コーキの天使ちゃん」は誰だ!
という部分がありますが、これは「コーキの天使ちゃん」を特定するための謎解きの本ではありません。
なぜ「コーキの天使ちゃん」は名乗り出なかったのか?
その部分がとにかく泣けるのです。
暖かい二人のお話なのです。

チヨダ・コーキは、いずれはそこから卒業していく成長の一過程で通り過ぎる作家である。
と、本書の中で書かれていますが、もしかしたら辻村さんも自分のことをそう考えているのかななんて邪推してしまいました。
本書に出てくる作家チヨダ・コーキの優しさと痛さを、拝読させていただいた辻村さんの全ての著書で感じてしまっているのです。

辻村さんの著作を通して感じることは、その優しさと、悲しいまでの痛さ。
私の心にはその「優しさと痛さが」沁みこむのです。
そして私の愛する「スローハイツ」の真面目で痛くて優しい住人達が、それぞれに自分の未来をつかむために歩みだすというエンディング。
もう、完璧です。

実はこの本、一回読み終わったのですが、その瞬間に再読してしまいました。
「コーキの天使ちゃん」をしった上で最初から読み直したかったのです。
もちろん再読する本は他にもあったのですが、連続は初めてでした。

辻村さんは本書で5冊目。
文庫になると、直ぐに購入しています。
基本的に文庫になってから購入するのですが、ついにハードカバーの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」を購入してしまいました。

★★★★★
講談社文庫 H22.1.15
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bokunome.jpg【表4より】
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった──。
ある日、学校で起きた陰惨な事件。
ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。
彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。
チャンスは一度だけ。
チャンスは本当に一度だけ。
これはぼくの闘いだ。


いや~。
辻村深月さん、凄い!!!!!
冷たい校舎の時は止まる」・「子供たちは夜と遊ぶ」・「凍りのくじら」に続いて4冊目ですが、1作ごとに私の中の好きな作家ランキングが上がっていきます。

この「ぼくのメジャースプーン」ですが、「ぼく」の幼なじみの「ふみちゃん」、彼女は誰にでも優しく、いつも清く、来る物は拒まず、去るものは追わず。
「ぼく」と同じ4年生なんですが、他の4年生より少し早く大人になってしまった女の子。
「ぼく」はそんな「ふみちゃん」を尊敬していた。

そんな「ふみちゃん」がかわいがっていた、学校のうさぎがある朝、二十歳の医大生によって惨殺されてしまう。
それも、ネットで面白おかしく中継しながら・・・・・。
そしてその第一発見者は「ぼく」の変わりに早朝の、うさぎ当番に出かけた「ふみちゃん」だった。
「ふみちゃん」はショックでPTSDに陥り、外の世界から自分を隔離し、声も出せなくなってしまいます。
犯人はまもなく捕まりますが、その罪状は「器物破損」・・・・。

そんな時、「ぼく」には封印していた力があった。
その力は、「もし○○しなければ、○○になる」と対象となる人物に囁くと、それが現実のものとなる力だった。

さて、あなたならどうしますか?
①何もしないで忘れるように努力する。
 復讐しても、元通りにはならない。
 すごく悔しいし、悲しいけど、その感情に縛られてしまうこと自体が、
 犯人に対して負けてしまうことだから。
 相手にしないことが、唯一暴力に対抗できる方法だから。
②犯人と友達になる。
 相手に対して復讐をすることは、相手の人生に対して責任を負うということ。
 相手を知ったうえで、相手の人生に関わるかどうか判断する。
 結果を出してからも、自分が相手にしたことに対する責任を負う。
 最後まで、相手の人生に関わらなければならない。
③犯人を、うさぎと同じ目に遭わせる。
 堂々と正面から小細工なしに仕返しに行く。
 そのことで、どんな結果が自分に降りかかっても後悔しない。

本書のなかでは3つの考えがある時点で提示されます。

私は、この本を読んでいて、近々開始される裁判員制度のことを考えていました。
人が人を裁くってこと。
裁判の判決ってこれと同じような気がします。
有無を言わせず従わせる力ですものね・・・。
もし、そんなものに選ばれたら・・・・・。

この本はとっても重いテーマとどこまでも切ない気持ちを書いた本です。
でも、辻村さんのエンディングには、これまでひとつも救われないエンディングはありません。
この本も最後は、やっぱり辻村さんでした。

現在のところ文句なしの今年のNO.1です。

★★★★★
講談社文庫 H21.4.15
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さて、「南十字」HP完全リニューアルしました。
藍さんと遊んでいたら、ますます何のサイトか判らなくなりました~。
そして。
いよいよ、
こんどこそ
再開かな~?
私は、今度は本物だと思っていま~す
 



korinokujira.jpg【表4より】
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。
高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。
戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。
そして同じ頃に始まった不思議な警告。
皆が愛する素敵な”道具”が私たちを照らすとき──。

【あらすじ】
初めて”あらすじ”を書きます。
理帆子は新進気鋭の若手女性カメラマン。
強く美しい光のある写真を撮る。
彼女がどうして強く・美しい光のある写真を撮るようになったかを描く作品です。
理帆子の高校生時代から話は始まります。
彼女は周囲の人間関係をそつなくこなし、誰からも嫌われることなく友人も多い。
しかしそんな彼女に自分が付けた人間の属性は「sukoshi・fuzai(少し不在)」。
そつなくこなすが、自分の主体がない。
そんな彼女が、強く美しい光に照らされ、主体を取り戻す「sukoshi・fushigi(少し不思議)な物語」。

「少し不在」な理帆子は、壊れていく「少し腐敗」な元彼、「少し不足」の松永郁也、「少し不幸」な母、「少しフラット」な別所あきら等、多彩な人物と触れ合い光に照らされる。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
初めて”あらすじ”を書きました。
”あらすじ”を書くのって難しいですね・・・・。
もっと書きたいのですが、これ以上書くと・・・・・。

辻村深月さん、3冊目です。
メフィスト賞受賞の「冷たい校舎の時は止まる」で不思議な作家さん。
2作目の「子どもたちは夜と遊ぶ」で内面を描く能力の高さを見ました。
どちらの作品も、ジャンル分けとしてはミステリーに分類されるわけですが、ミステリーの”?”の部分はそれほど重要視しせず、登場人物の内面を描くことに重点を置いています。

辻村深月さんは1980年生まれの、女性です。
この本の中に、辻村さんの写真入りの小パンフがはさまれていました。
本当に若く綺麗な方でした~。

今作の「凍りのくじら」はミステリーとして分類されてしまうのでしょうか?
この作品のジャンルは、「sukoshi・fushigi(少し不思議)な物語」です!
ミステリーとして、どんでんがえしや「だまされた~!」という感覚を味わいたい方には、貫井徳郎さんなどのほうがお勧めと思います。

この作品も素晴らしい作品でした。
前2作も素晴らしかったのですが、今作と比較するとミステリー色が強く、辻村さんにはこのぐらいの「少し不思議」な方が合いそうな気がしました。
比較で言うと、前2作より数段上です。
いや~、良かった!
辻村さんは、まだ本当に若く、これからどれだけの作品を書かれるのでしょうか?
ず~と、お付き合いしたいと思う作家さんです♪

私としてはこのお話は「泣けるお話」でした。
しかも随所でww

少し腐敗の元彼の崩壊していくさまは、本当に怖いです。
少しフラットな別所あきらのフラットで懐の深い言葉の数々。
どこまでも、どこまでも優しい少し不足な松永郁也(まだ子どもです)。
その他、様々な人物に是非触れてみてください。

※※※※※※※※※※※※ メ  モ+α ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
①「周りの子はみんな、もっと軽い気持ちで人と繋がって、薄っぺらい理念と強く刹那的な感情の動きで泣き喚きながら結びついたり離れたりするはずだ。だけど理帆子さんはきっとそうじゃないんだろうね。強い理念と薄い感情の動きで人と付き合う。そんな具合」(別所あきら)

そこに強い感情移入をするほうがどうかしているのだ。現実に対する距離感が薄い分、フィクションに対する思い入れが尋常でない私。

人間っていうのは、頭の良さに伴って思考する能力を持てば持つほど、必然的に孤独にならざるを得ない。」(別所あきら)

こんな文書がたくさん出てきます。
それでも良ければ、お勧め~


kodomotati.jpg【表4より】
大学受験間近の高校3年生が行方不明になった。家出か事件か。
世間が騒ぐ中、木村浅葱だけはその真相を知っていた。
「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番―」。
姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。
孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。

「浅葱、もう少しで会える」『i』は冷酷に二人のゲームを進めていく。
浅葱は狐塚や月子を傷つけることに苦しみながら、兄との再会のためにまた、人を殺さなければならない―。
一方通行の片思いが目覚めさせた殺人鬼『i』の正体が明らかになる。
大人になりきれない彼らを待つ、あまりに残酷な結末とは。

 



辻村深月さんは2冊目です。
メフィスト賞受賞作家です。第1回受賞者が森博嗣氏という破天荒な、何でもありの賞です。
メフィスト賞受賞作は「冷たい校舎の時は止まる」ですが、この作品中には著者と同姓同名の登場人物が出てきたりします。
今回も重要なポジションにいる登場人物「月子」・・・・。
そうとう「月」に思い入れがあるのでしょうね。

著者は1980年生まれの若手です。
今後、どうなっていくのか大変楽しみな作家さんです。

とにかくどちらの本も面白いですね~。
登場人物が基本的にとっても優しいです。

今回の「子どもたちは夜と遊ぶ」は『i(アイ)』と『θ(シータ)』による劇場型殺人を中心として、『i』と『θ』を取り巻く人物たちの内面を描いています。
後半、「もしかしたら、そういうこと? それは使い古されてる手だよ!そうじゃないよね?」って思っていたら、結局そのとおりでした。
少し捻っていますが・・・。

まぁ、それはそれで良いのかも知れませんね。
ミステリーとしての謎解きはそれほど重要ではないのかもしれません。
「冷たい校舎の時は止まる」でも、ある程度読み進めると、「もしかして?」って気が付きます。

どちらの本も途中で読むのが辛くなります。
悲しくて・・・。
でも、結末はそれぞれの登場人物に、それぞれの方向が提示されます。
辻村深月さんって、そういう作家なんだな~」と思いました。

まだ、二作ですがこのスタイルは続けて欲しいと思いました。
文庫しか買えない貧乏な私のこと、なかなか次の作品を読めませんが、文庫化次第読み続けたいと思いました。
基本的に長編が好きな私です。 デビュー作が3巻もの。 今回が2巻もの。
でも、次は短編とか1巻で終わるのも読みたいな~。

H20.5.15 



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