忍者ブログ
気の赴くまま、無理せずノンビリ。  風に吹かれて、できる事を背伸びせず・・・。                                                                  本とネットゲームと戯言と・・・。                                                                            ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                                                             読書感想には【かなり】内容に触れているものがあります。 未読の方はご注意を・・・・。
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
フリーエリア
sionの今読んでる本

sionさんの読書メーター
カテゴリー
ブログ内検索
プロフィール
HN:
  那智
性別:
非公開
職業:
  ないしょ
趣味:
  読書・PC・旅行等
[1] [2] [3] [4] [5] [6]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



slow.jpg【表4より】人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ──あの事件から10年。
アパート「スロー・ハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激しあっていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。
少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。
そんな中、あの事件の直後に128通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った1人の少女に注目が集まる。
彼女は誰なのか。
そして環が受け取った1つの荷物から彼らの時間を動かし始める。


辻村さん大好き~

講談社メフィスト賞作の受賞でデビューした深町さん。
メフィスト賞のイメージでミステリーのイメージがあるのですが、メフィスト賞を調べると、どうもエンターテイメント性に富んだもの。
「面白ければ良し」と言う方が、この賞の規定にはあっているようです。

メフィスト賞受賞作の「冷たい校舎の時間は止まる」は確かにミステリー色が結構ありますが、以降の作品は数を重ねるたびにその色合いは薄くなって来ている気がします。
だからといって、「がっかりした」とかではありません。
私にとってはミステリーとしてではない書籍としての「ぼくのメジャースプーン」とこの「スローハイツの神様」の2作は心に留め置きたい大切な2冊です。

本書でもコーキを救った通称「コーキの天使ちゃん」は誰だ!
という部分がありますが、これは「コーキの天使ちゃん」を特定するための謎解きの本ではありません。
なぜ「コーキの天使ちゃん」は名乗り出なかったのか?
その部分がとにかく泣けるのです。
暖かい二人のお話なのです。

チヨダ・コーキは、いずれはそこから卒業していく成長の一過程で通り過ぎる作家である。
と、本書の中で書かれていますが、もしかしたら辻村さんも自分のことをそう考えているのかななんて邪推してしまいました。
本書に出てくる作家チヨダ・コーキの優しさと痛さを、拝読させていただいた辻村さんの全ての著書で感じてしまっているのです。

辻村さんの著作を通して感じることは、その優しさと、悲しいまでの痛さ。
私の心にはその「優しさと痛さが」沁みこむのです。
そして私の愛する「スローハイツ」の真面目で痛くて優しい住人達が、それぞれに自分の未来をつかむために歩みだすというエンディング。
もう、完璧です。

実はこの本、一回読み終わったのですが、その瞬間に再読してしまいました。
「コーキの天使ちゃん」をしった上で最初から読み直したかったのです。
もちろん再読する本は他にもあったのですが、連続は初めてでした。

辻村さんは本書で5冊目。
文庫になると、直ぐに購入しています。
基本的に文庫になってから購入するのですが、ついにハードカバーの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」を購入してしまいました。

★★★★★
講談社文庫 H22.1.15
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

PR


RUSHLIFE.jpg【表4より】
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。
父に自殺された青年は神に憧れる。
女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。
職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場――。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。
不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。
巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。


また伊坂さんです。
伊坂さんの作品はよく人が死にます。
今回も沢山死にました。
私がこれまで読んだ伊坂さんの作中での死は、あまり生々しいものではなかったのですが、今回の中で出てくるものはそれ以上のものもありました。

ちょっと桐野夏生さんの「OUT」を思い出してしまいました。
OUT」も読んでしまったのですが、あの本は良く発売禁止にならなかったですね・・・。

ラッシュライフは、そのエンディングに「豊潤な人生」と書かれています。
リストラされた会社員・豊田と金の力に屈した若き才能のある画家・志奈子のこれからの「豊潤な人生」を想起させるエンディングの一文です。
カルト宗教を取り上げた小説ではないのですし、河原崎の「神の解体」は必要なかったのではないでしょうか?
正直、かなり気持ち悪かったです。

河原崎にも救いを用意して欲しかったな。。。
私としては、ベタなのですが紆余曲折を経て再生される魂というのが一番好きなのです。

それぞれの人生がニアミスし、リンクし時間のつながりが見えてきて・・・・展開の巧みさはさすがだと思いました。
「神の解体」のシーンは、「神の解体」というテーマを別の表現で描いて欲しかった。
ちょっと私には厳しい表現でした。
でも、まだまだ伊坂さんは読みまっす。

★★★★★
新潮文庫 H17.05.01



grasshopper.jpg【表4より】
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!


これは、面白い!

文句無く面白いです。
実はこの本、伊坂さんをあえて避けていた原因となっていた本だったのです。
皆さん、やられると思うのですが、文庫を買う場合まず、【表4】の粗筋を読みます。
【復讐】・【殺し屋】・・・・。
私のあまり得意ではないキーワードが目に飛び込んできたのです。

終末のフール」で伊坂さんを読み始めたわけですが、あちらの本の粗筋には【再生】(←これが一番好き)・【希望】・【恩讐】・【幸福】といった私をくすぐる言葉のオンパレードでした。
そのおかげで、こうして伊坂さんを読む幸運にめぐり合えたわけです。
さてさて、未だに避けている「重力ピエロ」どうしよ・・・。

この本は、とにかくドンドン頁をめくらせる力を持っていますね~。
よくある会話文ばかりで、内容の薄いサクサクではなく、私にとって次の頁が気になって仕方ないというタイプの本です。

本書は「鈴木」・「蝉」・「鯨」の主要登場人物3人の章が、繰り返し出てくる本なのですが、「蝉」・「鯨」が殺し屋なのに対して、鈴木は妻を殺された元教師。
この3人を結びつけるのが、「鈴木」の章で登場してきた第三の殺し屋「押し屋・槿」。

この後の粗筋は飛ばします。
かなり内容に触れてしまいますので・・・。

「鈴木」と「蝉」と「鯨」。
3人は自分と決着を付けるために、「押し屋・槿」を追います。
妻との絆を守るため。
自由を獲得するため。
亡霊と決着をつけるため。

理由はそれぞれですが、各人の心理描写がとても巧みです。
特に、「鯨」と「押し屋・槿」とても【魅力的な殺し屋】(?)です。
やはり魅力的な人物は、それが殺し屋であっても最後まで残るのですね。
暴走的な不穏人物の「バカ息子」・「社長(登場はしませんが)」・「蝉」は早めに退場です。
最後は、「鈴木」と「鯨」・「槿」が残る。
このあたりも伊坂さん、好きです

「殺し屋」というと、どうしても「ゴルゴ13」を連想してしまう私ですが、(と、書きながら殆ど知りません・・・)この小説に出てくる「殺し屋」は表情と体温を感じました。
サイトウ先生、ごめんなさい・・・。

最後の1行がかなり話題のようですが、【確かに何ていうのかな~】感はありますよね。
この1行は幻覚の終わりを意味してるのかな?
すると、幻覚の始まりは「信号」
え~!そんな前なの?
まぁ、小説の内容は非現実的ですから、そのための決着であったのだと思うのです。
でも、小説ですから面白かったり・感動したりなら、非現実的でも良いと思うのですよ。
でも、あれがあるから、「さすが、伊坂幸太郎~!」なんだよね~。

そうそう、この本にも本の1文ですが「しゃべるカカシ」が出てきました!
これは、今読んでいる「ラッシュライフ」にも出てきますし、やはり村上春樹さんでいう「羊男」=「カカシ」なのでしょうか?
「カカシ」は「オーデュポンの祈り」で死んでしまった訳ですが、もう新作では出てこないのでしょうか?
再登場を期待します!

★★★
角川文庫 H19.06.25



ushinawaretamati.jpg【表4より】
ある日、突然にひとつの町から住民が消失した──三十年ごとに起きるといわれる、町の「消滅」。
不可解なこの現象は、悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく。
そのため、人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていった……。
残された者たちは何を想って「今」を生きるのか。
消滅という理不尽な悲劇の中でも、決して失われることのない希望を描く傑作長編。


しばらく更新していない間に、年が明けてしまいました。
2010年、明けましておめでとうございます。
更新を怠っていたわけでは無いのです。
この本にてこずっていました。
この本はページ数(500頁超)もそうなのですが、なかなか難解で・・・。

難解っていうのもちょっと違うのかな?
文章は難しくないし、設定に馴染めなかったというのが正確かもしれません。
結局その馴染めなさは最後まで引きずってしまって、本の中に入っていけませんでした。
・・・、設定に馴染めないというのも違う気がしてきました、設定が煩雑に入り組んでいて、私の脳の許容量を超えてしまってたのかもしれません・・・。

と、気を取り直してと。
【表4】にあるとおりこの小説の世界では、三十年に一度一つの行政単位で町が突然消滅してしまうのです。
そしてその消滅にかかわる人たちの物語が、連作集の形で書き進められていきます。
消滅により、愛する人たちを失った、悲しむことさえ許されない人々の悲しみ。
そして、そこから立ち上がっていく希望と優しさ。
消滅の原因を解明し、消滅を防ごうと戦う人々。
と、
ここまでにしていただきたかったと思います。

ひとつひとつは、結構ホロリときたり、良いお話も多いんです。
ただ、難解な設定が上記のほかに沢山出てきます。

難解な部分
①分離体のお話・・・・多重人格ってありますよね。この小説世界では、多重人格はその治療として、精神を分離し本体・別体と呼ばれる別の肉体を持つ別個体に分ける事が出来る。
②西域の存在・・・・・この小説世界の日本(?)には西域と呼ばれる地域があり、その言語・習俗の相違。これは聖域にかけてあるのか?
③時系列のハチャメチャぶり
④呼称の不統一

この難解な①・②がほとんど何の前触れもなく、いきなり飛び出してきます。
①にしても②にしても魅力的な設定なのですが、それがいきなり飛び出してきて、読者には「そんなものなのか」を押し付けてきます。
納得しないと、先に進めないのです。
③は他の方も良く使われるのですが、それは叙述ミステリーの中で時間の錯誤を狙ってのもの。この小説では不要では?と感じてしまいます。
④章によって、章の主人公の呼称が変わります。
茜の章では「茜」と記述されますが、桂子の章では「桂子さん」・「桂子」と2種類出てきます???
これが結構気になるのです。

③・④も何か理由があるのでしょうけど、私の脳細胞では解読できませんでした・・・。
①と②に関しては、それぞれの設定で、このお話ではなく別の1冊の本にしたら、面白いんじゃないかな?と感じました。
とにかく、盛り込みすぎ感が・・・・。

町の消滅・分離体・西域といった、難解な設定部分に関しては、難解な言語で誤魔化している感が拭えません。
もともと、そんな世界に住んでいるわけでない私は、異なる設定の世界で使われている言語で説明されても、理解する事が出来ないのです。
日本語のような外国語で説明されている気がします。

ひとつひとつは、悪くないんです・・・・。
私としては、「もったいないな~」という感想でした。

最後の章の最後の文章が「一筋の光すら差し込もうとはしなかった。」ってのはどうなのかな・・・・。

あ゛~、読むのに苦労した~!
でも、一つじゃないw

★★★★★
新潮文庫 H21.11.25



odyupon.jpg【表4より】
コンビに強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。
無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?


伊坂さんの原点というデビュー作がこれです。
新潮ミステリー倶楽部賞の受賞作です。
ここから伊坂さんはスタートしたのですね~。
私の場合、何故か少し依怙地になっていたところがあり、伊坂さんは意識的に避けていたところがありました。
理由は有りません。。。
で、ついに最初に読んだのが、「終末のフール」。
これで、感銘を受け嵌り始めています。
そして、4冊目でやっとたどり着いたデビュー作です。

さて、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作とのことですが、ミステリーなのでしょうか?
まぁ、分類などはどうでも良いのです。
そのことより、新潮社がこの作品に賞を与え、伊坂さんをデビューさせてくれたことに感謝します。

このお話をミステリーと捉えたとき、ミステリーの要素は大きく分けると、二つあるのかな?と考えます。
一つは、未来を見通せるカカシは何故、自分の死を阻止出来なかったのか?
もう一つは、度々出てくる「この島には欠けているものがある」という、その欠けているもの。

読んでいる途中で私は、カカシが自分の死を回避できなかったのは、死ぬことの出来ないカカシの自殺。
「この島に欠けているもの」・・・これが大きなテーマで、この島(荻島)=日本の比喩であろうと思って読んでいました。
日本に欠けているものという壮大なテーマが書かれているのかと・・・・。
その解答は、あまりにネタバレになってしまうので書きませんが・・・。

まぁ、不思議でシュールな世界です。
村上春樹さんをイメージしてしまいました。

で、正直な感想です。
①まぁまぁ、面白いけど・・・。
②テーマ性が期待を裏切っている・・・・。
③タイトルが素敵。(文庫版の表紙が素敵)
④登場人物が魅力的。
⑤市場のウサギさんが好き。
⑥伊坂さんをデビューさせた新潮社、偉い!

★★★★★
新潮文庫 H15.12.01


忍者ブログ [PR]