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【表4より】人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ──あの事件から10年。
アパート「スロー・ハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激しあっていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。
少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。
そんな中、あの事件の直後に128通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った1人の少女に注目が集まる。
彼女は誰なのか。
そして環が受け取った1つの荷物から彼らの時間を動かし始める。
辻村さん大好き~
講談社メフィスト賞作の受賞でデビューした深町さん。
メフィスト賞のイメージでミステリーのイメージがあるのですが、メフィスト賞を調べると、どうもエンターテイメント性に富んだもの。
「面白ければ良し」と言う方が、この賞の規定にはあっているようです。
メフィスト賞受賞作の「冷たい校舎の時間は止まる」は確かにミステリー色が結構ありますが、以降の作品は数を重ねるたびにその色合いは薄くなって来ている気がします。
だからといって、「がっかりした」とかではありません。
私にとってはミステリーとしてではない書籍としての「ぼくのメジャースプーン」とこの「スローハイツの神様」の2作は心に留め置きたい大切な2冊です。
本書でもコーキを救った通称「コーキの天使ちゃん」は誰だ!
という部分がありますが、これは「コーキの天使ちゃん」を特定するための謎解きの本ではありません。
なぜ「コーキの天使ちゃん」は名乗り出なかったのか?
その部分がとにかく泣けるのです。
暖かい二人のお話なのです。
チヨダ・コーキは、いずれはそこから卒業していく成長の一過程で通り過ぎる作家である。
と、本書の中で書かれていますが、もしかしたら辻村さんも自分のことをそう考えているのかななんて邪推してしまいました。
本書に出てくる作家チヨダ・コーキの優しさと痛さを、拝読させていただいた辻村さんの全ての著書で感じてしまっているのです。
辻村さんの著作を通して感じることは、その優しさと、悲しいまでの痛さ。
私の心にはその「優しさと痛さが」沁みこむのです。
そして私の愛する「スローハイツ」の真面目で痛くて優しい住人達が、それぞれに自分の未来をつかむために歩みだすというエンディング。
もう、完璧です。
実はこの本、一回読み終わったのですが、その瞬間に再読してしまいました。
「コーキの天使ちゃん」をしった上で最初から読み直したかったのです。
もちろん再読する本は他にもあったのですが、連続は初めてでした。
辻村さんは本書で5冊目。
文庫になると、直ぐに購入しています。
基本的に文庫になってから購入するのですが、ついにハードカバーの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」を購入してしまいました。
★★★★★
講談社文庫 H22.1.15
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