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【表4より】
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!
これは、面白い!
文句無く面白いです。
実はこの本、伊坂さんをあえて避けていた原因となっていた本だったのです。
皆さん、やられると思うのですが、文庫を買う場合まず、【表4】の粗筋を読みます。
【復讐】・【殺し屋】・・・・。
私のあまり得意ではないキーワードが目に飛び込んできたのです。
「終末のフール」で伊坂さんを読み始めたわけですが、あちらの本の粗筋には【再生】(←これが一番好き)・【希望】・【恩讐】・【幸福】といった私をくすぐる言葉のオンパレードでした。
そのおかげで、こうして伊坂さんを読む幸運にめぐり合えたわけです。
さてさて、未だに避けている「重力ピエロ」どうしよ・・・。
この本は、とにかくドンドン頁をめくらせる力を持っていますね~。
よくある会話文ばかりで、内容の薄いサクサクではなく、私にとって次の頁が気になって仕方ないというタイプの本です。
本書は「鈴木」・「蝉」・「鯨」の主要登場人物3人の章が、繰り返し出てくる本なのですが、「蝉」・「鯨」が殺し屋なのに対して、鈴木は妻を殺された元教師。
この3人を結びつけるのが、「鈴木」の章で登場してきた第三の殺し屋「押し屋・槿」。
この後の粗筋は飛ばします。
かなり内容に触れてしまいますので・・・。
「鈴木」と「蝉」と「鯨」。
3人は自分と決着を付けるために、「押し屋・槿」を追います。
妻との絆を守るため。
自由を獲得するため。
亡霊と決着をつけるため。
理由はそれぞれですが、各人の心理描写がとても巧みです。
特に、「鯨」と「押し屋・槿」とても【魅力的な殺し屋】(?)です。
やはり魅力的な人物は、それが殺し屋であっても最後まで残るのですね。
暴走的な不穏人物の「バカ息子」・「社長(登場はしませんが)」・「蝉」は早めに退場です。
最後は、「鈴木」と「鯨」・「槿」が残る。
このあたりも伊坂さん、好きです
「殺し屋」というと、どうしても「ゴルゴ13」を連想してしまう私ですが、(と、書きながら殆ど知りません・・・)この小説に出てくる「殺し屋」は表情と体温を感じました。
サイトウ先生、ごめんなさい・・・。
最後の1行がかなり話題のようですが、【確かに何ていうのかな~】感はありますよね。
この1行は幻覚の終わりを意味してるのかな?
すると、幻覚の始まりは「信号」
え~!そんな前なの?
まぁ、小説の内容は非現実的ですから、そのための決着であったのだと思うのです。
でも、小説ですから面白かったり・感動したりなら、非現実的でも良いと思うのですよ。
でも、あれがあるから、「さすが、伊坂幸太郎~!」なんだよね~。
そうそう、この本にも本の1文ですが「しゃべるカカシ」が出てきました!
これは、今読んでいる「ラッシュライフ」にも出てきますし、やはり村上春樹さんでいう「羊男」=「カカシ」なのでしょうか?
「カカシ」は「オーデュポンの祈り」で死んでしまった訳ですが、もう新作では出てこないのでしょうか?
再登場を期待します!
★★★★★
角川文庫 H19.06.25