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【表4】より
店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」宇佐美陶子。
彼女が同業の橘薫堂から仕入れた唐様切子紺碧碗は、贋作だった。
プロを騙す「目利き殺し」に陶子も意趣返しの罠を仕掛けようとするが、橘薫堂の外商・田倉俊子が殺されて、殺人事件に巻き込まれてしまう。
古美術ミステリーの傑作長編。
冬狐堂シリーズの逆読み。これがシリーズ第1作です。
っと、面白いですよ。
でもね・・・・・、第2作の狐闇のインパクトが私にとっては、大きすぎました。
ミステリーとしてはこちらの方が本道なのでしょうね。
さて、こちらの狐罠。
前回の第2作狐闇が民俗学の新説の展開を試みているのと比べると、骨董の世界にどっぷり嵌っています。
この作品で一番興味深く読めたのは、明治政府の廃仏希釈運動。
もちろん廃仏希釈のことは知っておりましたが、あまり深く考えたことはありませんでした。
神と仏を完全に分離し、仏教を弾圧し神道を保護する。
その際に貴重な仏教文化が破壊され、多くの寺院の財産が廃却され、また海外に二束三文で流出しました。
中国の文化大革命を思わせる大暴挙です。
陶子の敵・橘薫堂は優秀な審美眼と鑑定眼を持つ策士であり、エゴイスト。
自分のコレクションとしても骨董を蒐集し、また比類なき贋作を作成する。
その贋作は、廃仏毀釈により海外に流失した日本の古美術をトレードで取り戻すため。
方法論は別として、信念に基づいた悪役骨董商です。
陶子が仕掛けられた「目利き殺し」も、その報復に陶子が贋作の「目利き殺し」を仕掛けてくることまで読んで行っています。
陶子を利用し、行方のわからなくなっている、伝説の贋作師・潮見を見つけ、自分の元に置くため・・・・。
いやはや、結局橘薫堂に陶子は最後まで勝てなかったのかも知れません。
橘薫堂は滅ぶのですが、陶子によって意趣返しによって滅ぶわけではありません。
結局頭脳戦では、橘薫堂>潮見>陶子なんですね。
さらに、方法論は?ですが、橘薫堂の流失資産奪還もある程度、理解が出来てしまいます。
この2点によってなのか、狐闇より評価が下になってしまいました・・・・。
でも、面白かったですよ
暫く、北森鴻さん、嵌りそうです~。
講談社文庫 H12.5.15